NARUTO Short.

□明日
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“今日”が終われば“明日”が来て、“明日”が来れば“今日”は終わり“昨日”になる。

これが当たり前だと思っている人は、ね。




「・・・悪ぃけど、今日も無理そうだ」

「・・・そっか、わかった」

「ごめんな」




とある研究室の前。

先程たまたますれ違った先輩から彼がここにいると聞き、何となくそんな気がして来てみた。

普段から寄せられている眉間のシワを、より一層寄せて申し訳なさそうに謝る彼。

ねぇ、そんな顔しないで。




「仕方ないよ、シカマルは悪くないもん」




そう、仕方がない。

急遽仕事を任されたという暗号文の解読は、頭脳明晰である彼が頼まれるのも納得がいくし、よくあること。

そして、こうして急な任務や仕事が入ることは私だって例外ではない。

何より今は戦争前の大事な時だから、忙しさは通常の倍と言っても過言ではないのだ。




「やっと、互いの予定が合ったと思ったのによ・・・」

「シカマル・・・」

「次はいつ、ちゃんとお前に会えるんだろうな」




普段弱い所を見せない彼が、珍しく顔を悲しそうに歪めて私の頬に手を添える。

その手が微かに、でも確かに震えているのを感じた。




「・・・怖い?」

「怖くねぇ、って言ったら・・・・・・嘘になる」




切なく笑うシカマル。

ほぼ初めてに等しい彼の弱音に、不謹慎ながらもときめいてしまった。

でも、次の言葉で一気に現実に戻される。




「俺らに、“約束された明日”があったら・・・」




そうだ。

私たち忍には“明日”が必ず来ることが当たり前ではない。

任務には常に危険がつきまとい、“死”と隣り合わせである。

そして、いつ戦争が始まるか分からないという現状。

“約束された明日”がない私たち忍は、“生きたい明日”を守りたいと戦うのだ。
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