novel

□幼い寝顔と体温
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─珍しいこともあるもんだ。
こいつの寝顔を見られるなんて……









幼い寝顔と体温











窓から差し込む光が眩しくて目が覚めた。


隣ではアレンがすやすやと寝息をたてて眠っている。いつもは情事の後、目が覚めてもアレンの姿はない。いつの間にか任務に行っているし、もし任務に出ていなくても俺より早く起きているから目が覚めたときはいつもアレンの笑顔が目の前にあった。

…それが恥ずかしくて、悔しかったのだが何故かいつもアレンのペースに流されてしまっていた。


「ガキみてェな寝顔……」


初めて見るアレンの寝顔。
情事の時に見せる大人っぽい表情や、普段皆に向けている紳士的な顔とも違う。まだ15歳という年齢に相応しいあどけない寝顔に思わず見てしまう。
猫っ毛でふわふわの白髪に光が反射してキラキラと輝いている。


「ん………」


アレンはもぞもぞと動いて目を覚ました。じっと凝視していたから視線がばっちり重なってしまった。焦って顔を背けようとしたが、あっという間に頬に手を添えられて身動きがとれなくなった。


「おはようございます」


まだ覚醒しきっていないアレンは瞳を伏せたまま俺の髪を梳く。少しくすぐったいけれどアレンの温かいてのひらが愛おしくて、ずっとこうしていてほしいなんて思ってしまう。


「腰…、大丈夫ですか?」

「……っ!」


いきなりの問いかけに昨日の行為を思い出して恥ずかしくなり、顔が熱くなるのを感じる。


「べつに……っ」


そう答えたものの腰には鈍い痛みがあった。
何しろ昨日は散々鳴かされて乱されて、お互い何度も求め合ったのだ。久しぶりの行為に夢中になっていたのかもしれない。自分の乱れようを思い出して、居た堪れなくなってくる。

そんな俺を余所にアレンはまた眠りに就こうとしていた。もうすぐ昼時で、アレンにしては食堂に行こうとしないことが珍しい。


「おい、めし……」

「ん……、もうちょっと寝ましょうよ」


せっかく任務もないんですし、そう言って甘えるようにアレンはぎゅっと抱きついてきた。こういうところはまだまだ子供だと思う。すぐにすやすやと規則正しい寝息が聞こえてきた。

アレンの顔を覗き込みながらふっと微笑む。



たまにはこういうのもいいか──



アレンの背に手を回し全身でアレンの体温を感じる。高い体温につられて、神田にも眠気が襲ってきた。




「今日はずっと傍にいてやるよ…」


神田はゆっくり瞳を閉じた。




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