小説

□サディストになり切るのは難しい
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「……何のつもりネ」
神楽は挑発するように言う。
「お前ロリコンアルカ?それとも一族繁栄の為にこんないたいけな少女まで襲う気アルカ?」

神楽は静かに次の言葉を待った。
すると阿伏兎は薄笑いを浮かべる。


「それも悪かねぇな」


神楽は眉をひそめた。
訳が分からなかった。嫌な人かと思えば急に優しくなったり、意地悪くなったり――――。




「気を付けなきゃな、お嬢さん」
阿伏兎は肩を竦めた。
「その気になれば、俺は躊躇無くお前さんを抱けるぜ?」

神楽はじっと阿伏兎の顔を見つめた。
しばらく沈黙が続き――

神楽ははにかんだ。

「出来るわけがないネ」

「………どうしてそう思う?」
神楽は笑顔のまま答える。
「その前に私がお前をぶっ殺すからアル」

阿伏兎は一瞬驚いたように神楽を見て、そして声を上げて笑った。

「じゃあ賭けをしようか。俺がお前さんを抱くが早いか、お前さんが俺を殺すが早いか」
「そんなの、知れた事アル」
その瞬間、神楽は建物の屋根の上に飛び乗った。

「お前は私が殺すアル。…やられっぱなしなんて御免アル」

見下ろせば、阿伏兎はじっとこちらを見上げていた。そして吹き出した。
「ガキだな」
神楽はむっと顔をしかめた。
「最後に一つだけ言わせて貰うアル、オッサン」
少し間を空けて声を張り上げた。
「私は飴より酢昆布派ネ」
それだけ吐き捨て、神楽は振り返る事無くその場を去った。

残された阿伏兎はポツリと呟いた。

「………クソガキが」







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