小説

□大人だねって言われるとなんか嬉しい
3ページ/7ページ



「―――…で、このグラフが二次関数だって事は分かるな?」
「うん」
「だからその上を通る点Pは………」

さっきから全然意味不明だが、ピン子の為にはどうしようもない。
(てかあと30分しかないアル!マジで早くしてくれないと……)

「……聞いてるか?」
その言葉に神楽はびくっと震えた。
「聞いてるアル!」

慌ててコクコクと頷いた。しかし土方は怪訝そうに神楽をじっと見た。
いや、睨んだという方が正しいかもしれない。土方は目つきが鋭いので、そんなつもりでなくてもそう捉えられやすいのだ。

だから大多数の生徒から怖がられているが、神楽はちゃんとその目を見返す事が出来た。
意地なのかもしれない。
目を逸らせば負けのような気がしてならなかった。

「早く続き!はい、どうぞ!」
つーかもうピン子始まるアル!
「や、やっぱ帰らせて下さい!てかもう帰るアル!」
「はぁ?」

いきなり立ち上がった神楽に土方は頓狂な声を出した。
「馬鹿か、自力で解けた問題が一問でもあったか?帰せる訳ねーだろ」
「今日はもう勘弁ネ!明日やるから……」

神楽はこれでもかというように上目遣いで懇願した。こんな美少女がそんな風に頼み事なんてしたらきっと誰も断れないだろう。
たいていの男なら誰しもがお持ち帰りを願ったはずだ。

さすがの土方もこれには一瞬ぐっと口を閉ざす。

だが、
「駄目だ」
却下された。
「鬼アル!人の皮被った悪魔アルヨ!」

口論しているうち、もうピン子は始まっていた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ