小説

□大人だねって言われるとなんか嬉しい
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放課後の教室の中、女子生徒と教師が二人残っていた。
その女子生徒は期末テストで赤点を取り、補習を受けている。

けれどこの数学教師の説明が理解出来ず、女子生徒、神楽は逆ギレしていた。

「だから、不明な事言うなヨ!なんで2で割る必要があるネ!?」

「三角形だから」

教師の土方は「不明なのはお前だよ」とでも言いたげな目で神楽を見た。
「何度言わせる気だよ。三角形の面積は底辺×高さ÷2だ。
もうこれは常識なんだよ」
うんざりした声で言われる。
その言葉は呪文のように何度も聞いた言葉だった。
本当なら小学生で理解すべき問題。
だが神楽はどうしても納得出来なかった。

だって意味不明ではないか?
底辺×高さっていうだけでもうややこしいのに、なんでまた2で割る必要があるんだ。

もう一度反論しようと口を開けた。
しかし、言葉が喉まで出かかってはっとした。
(ヤバい!あと一時間でピン子始まっちゃうアル!こんな事してる場合じゃないネ!)

「わかったアル」
と、適当に頷いた。
すると土方は訝し気に覗き込む。
「……本当だろうな?」
「マジアルヨ!!先生はこんなカワイイ生徒を疑うアルカ!?」
「いや、カワイイとか関係ねぇけど……」

そう溜息を吐き、土方は眼鏡を少し上げる。
普段は掛けていない。時々掛けている程度だ。
土方のような美青年が掛けたら女子はもう騒ぎまくりだ。
けれど今神楽はそんな事どうでも良かった。

「先生まだアルカ?早く帰りたいアル」
「……あと三ページ終わったらいいぞ」

それを聞いて神楽は焦った。
なるべく早く帰りたい。
そのために、神楽は「何言われても頷け作戦」に移る事にした。




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