現代パラレル

□短編
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神田の嫌いな季節

 風が雨の香りを運んでくる。じめじめと肌にまとわりつく不快感と合わせて、梅雨がやってきたと知らせてくる。
 1人ベランダで洗濯物を干しながら、テレビの音に耳を傾ける。今夜から朝にかけて雨が降ると言っている。濡れては適わないと内側へ移動させ、部屋へ戻る。
 我が物顔でくつろいでいる2人を踏みつけて台所へ行き、お湯を沸かす。音に釣られるように這い上がった彼らが顔を覗かせる。
「このくそ暑い日にご苦労さまです」
「いてて…酷いさ、ユウ」
「名前で呼ぶな、くそウサギ。―――上から目線か、くそモヤシ」
「何の話ですか、くそワカメ」
 くそくそ言い過ぎだと、ラビが止めに入るが、その頭を鷲掴みにして横へずらす。
「てめぇら、いつまでいる気だ。とっとと失せろ!」
「別に神田のためにいる訳じゃありません。自惚れないで下さい。病気なんですか?バカですねー」
 バカにした笑みを浮かべながら、滑舌よく語彙を並べていく。言い返すのも面倒になった神田は、掴んだままのラビをアレンの方へ放った。
「このくそ暑い時にてめぇらなんか見たくねぇんだよ!」
 リビングに声が響き、テレビの音が一瞬止んだように感じた。
「早く去れ!」
 呆然と立っている2人を払うように手を動かす。
 2人は気にしたそぶりを見せずに、口を開いた。
「神田…」
「ユウ…」
「あんだよ…」
 真顔の2人に答えると、彼らは顔を見合わせてため息を吐いた。
「神田がそれを言いますか?」
「は?」
「黒髪長髪の上」
と、ラビが神田を指差した。そしてアレンが引き継いで、神田の手元を指差した。
「現在進行形でお湯を沸かせている君が?」
 お湯の沸く音とテレビの音が耳に入った。











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特にお題なしでリハビリ的に。
一週間以上書いてなかったんですね…。

あ、現パラでござる←遅いんだぜ☆
2010/7/14
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