その他

□ハロウィン
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トリック・オア・トリート!


「トリック・オア・トリート!!!」
「…はぁ?」
「あれ?」
 部屋で寝転がってのんびりお菓子を食べているとおかしな格好をしたラビが現れた。そのラビに一瞥を向けるとアレンはお菓子に意識を戻した。今はラビよりお菓子の方が大事だ。折角リンクが作ってくれたお菓子だ。出来立ての暖かいまま食べたい。
「…アレンさん?」
「なんですかー?」
「えっと…その…あのね。今オレな」
「トリック・オア・トリートがどうかしました?―――リンク、このお菓子また作って下さい」
 ラビを見ずにお菓子を頬張る。サイズや味が自分好みでよい。製作者のリンクにまた作ってくれとリクエストをする。言われた彼は本から目を逸らすことなく、ラビにも視線を向けることなく、ばっさりと切り捨てる。
「材料が足りません」
「えー!そんなー」
「…ねぇ!!」
 ラビの相手を適当にしているとラビが我慢できずに叫んだ。うるさいと嫌々目を向けると彼はもう1度トリック・オア・トリートと言った。
「あの、ラビ?」
「なにさ」
「ハロウィンが全ての人に通じると思わないで下さいね?」
「わかってるさ。だからアレンの所に来たんさ」
 ハロウィンは英国や米国で流行っているものだから、英国人であるし、元はピエロとして旅をしてきたアレンならわかる、とラビは胸を張って言った。
 そのラビから視線を外してお菓子へ戻す。
「…リンクー」
「なんですか?」
「アレ追い出してください」
「うぉい!!」
 お菓子だけを見てゴミを捨ててきてくださいと軽く言う。リンクは溜息をついてページをめくる。
「わたしは貴方の監視であってお守りや家庭教師ではありません」
「ラビにべらべら喋りますよー」
「何をだよ!!」
「ルベリエ長官が実はヅ」
「違います!どこからそんなガセネタを」
 音を立ててリンクは本を閉じた。眉が寄っている。
 アレンの軽い口調とは反対に真剣である。
「リンクが寝言で」
「そんなことを言うはずがありません」
「言ってたよ。ねぇ、ティム?」
 アレンにいつも寄り添っている金色のゴーレムがこくりと頷く。
 ラビは無視されていると理解し、そっとアレンに近づいた。ベットに座っているアレンの横に座る。
「…なんですか?」
「お菓子くれないからイタズラします」
「ボクからお菓子を盗ろうだなんて1万年と2千年前から諦めて下さい」
「お前の前世は赤毛か?」
「どうでもいいです。どっちかと言うと合体派?」
「うん、それこのサイトで初めてのネタフリだな」
「初チャレンジです。乗ってくれてありがとうございます。で、ついでにそのまま去ってくれると助かります。どうせなら黒髪に生まれ変わった赤毛の所に行って下さい」
「…黒髪はハロウィン知らないさ」
「じゃ、諦めて下さい」
 今年のハロウィンは思い切り失敗か、と言ってラビが諦めて帰ろうとした時、その背を呼び止める。振り返った彼に片手で軽く収まる包みを投げて渡した。
「これでイタズラされませんよね?」
 にっこり笑顔でラビに手を振る。彼は中身を確認せず、出て行った。涙目になっていたのはいつもお兄さんぶっている彼からすると屈辱かもしれないと思い、言わなかった。どうせ後で思い切り泣くのだから。
「何を渡したんですか?」
「ん?」
「うぉおいいいいいいいいい!!」
 ラビの叫び声をバックにアレンが爽やかな笑顔で言う。
「お菓子が入っていた紙袋です」












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加藤さんが出ていないのでその他扱いです。
1万年と2千年前は沙苗さん関係でアク/エリオンです。可哀想な白髪のお話(違)


2008/10/31

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