その他

□夜中のおやつ
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夜中のおやつ

 夜の闇が深くなった頃、教団内の1室から食堂で毎日のように響いているマヌケな音が響いていた。あまりの五月蝿さに隣の部屋からは人が消えている。
「お腹空いたー…」
「…」
「お腹空いたよー…」
 監視対象がベットに寝そべったまま、監視者に意味深な視線を向けている。監視者は気にせず就寝前の読書を進める。視線は彼の手にあるスイーツの本に思い切り突きさっていた。
 整えた眉を寄せ、監視者リンクは振り向かずに言う。
「夕ご飯は頂いたでしょう?」
「ボクは消化が早いんです…」
 そういうと声の主である、アレンはベットの上をまた転がり始める。
「夜中に食べると太ります」
「ボクは太らない体質なんです」
 体質ではなく寄生型だからだ、と心でツッコミつつ口には出さない。
「お腹減ったー死ぬー」
「そんな簡単に死ぬわけないでしょう」
「ボクは死にます…」
 バカなと思ったが口には出さずに放って置く。いつものことだと短い監視生活の中で理解していた。直に部屋を出て食堂にでも行くだろう。それか仕舞ってある菓子を食べ始めるだろう。
「お腹空いたー空いたよー」
「…」
「隠しお菓子がないよー」
 言われてみて気づいたが、今日のおやつの時間に最後のお菓子だと言いながら食べていた。また任務の帰りに買って帰らなければならないとティムキャンピーに言っていた。
「今アクマが来たら確実に死にます…ボク」
「…」
「もリンクも」
「…は?」
 突然飛び出した自分の名に思わず読書を止める。それを待っていたかのようにアレンは我慢が限界に達してホコリを立てて暴だした。
「腹が減ったら戦えないんです〜」
「夜中に戦う予定があるんですか?」
「…ケチ」
「…ケチって。夜中の食事は体に悪いですよ」
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