現代パラレル

□学校生活
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学校生活での会話で10題 U


01.「何で俺のイチゴミルクが自販機から消えてるんだ!?」
   「そりゃお前しか飲まないからだろ」

「はれ…?」
 ラビが自動販売機を端から端までをしつこいほど見ている。そんな様子を視界に入れつつ、アレンと神田は各々の飲み物を買った。
「ねぇ!」
「…なんですか?」
「オレのイチゴミルクが消えてる気がするんだけど」
 心なしか涙目になりながらラビがアレンに接近して訴える。それを少しウザそうにしつつ、アレンは記憶を辿る。
「…ああ。この前業者の人がどかしてましたね」
「そうだな。見た」
 1人避難していた神田が同意する、と、ラビはすかさず神田に飛びつく。
「うわっ!何すんだ」
「どうして止めてくれなかったさ…!!オレの、オレのイチゴ!!!」
「オレには関係ねぇ」
「ですよね。ラビしか飲んでるの見たことないですし」
「うぉれのイチゴォォォォォォオオ!!!」
 頭を抱えて叫ぶラビの声は廊下に響いた。
 うわぁ、うぜぇ…。
 と2人は心の中で思ったのであった。



02.「彼女を作るなんて裏切りは絶対に許さねぇ」
   「モテないお前が悪い」

 神田特製和食弁当を頬張りつつ、難癖をつけようと目を凝らしていたアレンをラビが突っつく。
「なぁなぁ。アレーン」
「なんですか?邪魔しないで下さい」
「邪魔じゃないさー。好奇心からの質問なんだけどさ」
 また好奇心か…。
 ラビは好奇心旺盛で物覚えがいい。そのため、歩く辞書と化している。いずれは広辞苑か。
 それはどうでもいいとして、アレンは『好奇心での質問』とやらに嫌な予感がしてならない。
「…3秒で済ませて下さい」
「無理です。無理無理!!」
「うぜぇ…」
「……。あのさ。最近ロウファと仲良くない?」
 よく知った名が現れてアレンは顔を上げる。ラビは興味津々で、視界の端に移る神田はどうでも良さそうだ。2人のクラスメイトだと言うのにこの違いはなんだろうか。
「…内緒です」
「えーーー!!なにその意味ありげ!」
「うるせぇ、バカウサギ」
 神田は自作のおかずを箸で器用に持って口に運ぶ。ダシの浸み具合は今日も完璧だ、と顔に描いてある。その完璧をぶち壊すようなラビの声に青筋を立てている。元から大して期待はしていないが、援護は望めないなとアレンは思った。
「ユウだって気になるさ?」
「ならねぇよ」
 ホラやっぱり。
 神田は見ることもせず、あっさり言い切った。
「健全な青少年じゃん、オレら」
「それがどうした」
「…アレンに彼女が出来るとか、オレ…オレ!!」
「ボクはそっちの趣味はないですよ。ラビがそっちを望んでいるのなら今ここで別れを切り出します」
 思いつめたように言うラビに真顔で言う。
「ちょ、誤解よ、誤解!!」
「モヤシにもフラれるような、モテないお前が悪いんだろうが」
「ここで重要なのそこじゃないでしょ―――!」
 必死で弁解するラビの背に追い討ちをかける。
 節目がちに手を口に当ててわざとらしい演技する。
「ラビがボクの事好きだったなんて…てっきり神田のことが好きなんだと思ってました」
「うげぇ…気持ち悪いこと言うな」
 神田は本気で嫌がっている。勿論冗談だが、彼はもしかしたら本当のバカなので本気で受け取っているかもしれない。それならそれでいい。
 なんとか話を反らせられたことにアレンは隠れて拳を握った。
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