九番隊 壱

□俺のS〜愛の行方〜
1ページ/12ページ

※名前変換ありません。九番隊五席S:修兵の恋人


・・・私って、私自身って?




・・・何で、こんな事思うようになったんだろう。

好きな人に抱かれている最中に私はそんなことを考えていた。

「はっ、う・・・んっ、やっ」

頭では冷めていても身体が反応してしまう。


「・・・俺の・・S」

私を見つめ、切ない表情で口付けてくる檜佐木副隊長。

「副隊・ちょ・・・」

「・・・修兵だろ、S」


私の上で動く修兵さん。

激しく突き上げられ、声をあげるが頭の中は別のことを考えている私。


終わりにしなきゃ・・・


呼吸が落ち着くまで、私を抱きしめていてくれる逞しい腕。

でも、この腕に抱かれるのは私だけじゃない。

私は、彼にとって何番目なんだろう。


最初は、憧れの先輩として惹かれていた。

そして恋次から紹介してもらい、想いを伝え、彼の恋人になった。

どんどん惹かれていく私。


でも、彼の目に映るのは、きっと手に入れたモノより新しいモノ・・・。


『俺のS』

修兵さんはよくこう言うけれど、私って何?


ただの快楽のための都合のいい女?

このままではいけないと思いながら、彼の低い声、甘い言葉を聞くと、切り出せずに求められるまま身体の関係を続けている。

私の名前を呼んで達する彼の姿に喜びを感じているのも事実だ。今だって・・・

私が強くならなきゃいけない。彼の腕の中で考えていた。


「なぁ、S、よくなかったか?」

修兵さんは私を腕に抱いたまま訊いてきた。

「えっ?」

驚いて彼の顔を見る。

「何か、気持ちはうわの空って気がしてさー、何かあったのか?」

・・・優しい修兵さん。

私は自分で驚くほど冷静に話せた。


「これで終わりにしましょう。檜佐木副隊長」

「なっ、S?本気か」

「・・・はい」

じっと見つめ合う。


情事の直後にする話じゃないよね・と冷静な私が思っている。

私を宥めようとする為か、彼は私を抱きしめ耳元で呟いた。

「S・・・俺のこと、嫌いになったのか?」

首を振り彼の目を見る。

「好きだから、これ以上は無理なの・・・移隊願は東仙隊長に提出してあります」


私の真剣な目に彼も察したのか「わかった・・・帰るよ」と布団から出た。


衣ずれの音、戸を閉め出ていく音を背中で聞きながら、私はじっと目を閉じていた。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ