九番隊 壱
□俺のS〜愛の行方〜
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※名前変換ありません。九番隊五席S:修兵の恋人
・・・私って、私自身って?
・・・何で、こんな事思うようになったんだろう。
好きな人に抱かれている最中に私はそんなことを考えていた。
「はっ、う・・・んっ、やっ」
頭では冷めていても身体が反応してしまう。
「・・・俺の・・S」
私を見つめ、切ない表情で口付けてくる檜佐木副隊長。
「副隊・ちょ・・・」
「・・・修兵だろ、S」
私の上で動く修兵さん。
激しく突き上げられ、声をあげるが頭の中は別のことを考えている私。
終わりにしなきゃ・・・
呼吸が落ち着くまで、私を抱きしめていてくれる逞しい腕。
でも、この腕に抱かれるのは私だけじゃない。
私は、彼にとって何番目なんだろう。
最初は、憧れの先輩として惹かれていた。
そして恋次から紹介してもらい、想いを伝え、彼の恋人になった。
どんどん惹かれていく私。
でも、彼の目に映るのは、きっと手に入れたモノより新しいモノ・・・。
『俺のS』
修兵さんはよくこう言うけれど、私って何?
ただの快楽のための都合のいい女?
このままではいけないと思いながら、彼の低い声、甘い言葉を聞くと、切り出せずに求められるまま身体の関係を続けている。
私の名前を呼んで達する彼の姿に喜びを感じているのも事実だ。今だって・・・
私が強くならなきゃいけない。彼の腕の中で考えていた。
「なぁ、S、よくなかったか?」
修兵さんは私を腕に抱いたまま訊いてきた。
「えっ?」
驚いて彼の顔を見る。
「何か、気持ちはうわの空って気がしてさー、何かあったのか?」
・・・優しい修兵さん。
私は自分で驚くほど冷静に話せた。
「これで終わりにしましょう。檜佐木副隊長」
「なっ、S?本気か」
「・・・はい」
じっと見つめ合う。
情事の直後にする話じゃないよね・と冷静な私が思っている。
私を宥めようとする為か、彼は私を抱きしめ耳元で呟いた。
「S・・・俺のこと、嫌いになったのか?」
首を振り彼の目を見る。
「好きだから、これ以上は無理なの・・・移隊願は東仙隊長に提出してあります」
私の真剣な目に彼も察したのか「わかった・・・帰るよ」と布団から出た。
衣ずれの音、戸を閉め出ていく音を背中で聞きながら、私はじっと目を閉じていた。