○ 一次創作 ○
□ 弱肉強食
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【しかし今の猛獣達、普通じゃないな】
エグゼルの頭の中の声は、腑に落ちないと言いたげな調子で語りかける。
普通の相手ならば、猛獣達に襲われるのが当然だろう。
だが、襲われても傷1つ無いエグゼルは、どう考えても普通では無い。
更にそれほど実力のあるモノを感じ取れないほど、野生の生き物は鈍くない。
(……『欠片』って人間以外にも作用するのか?)
【……いきなり何を尋ねているんだ?
それに、『欠片の』は生命体に反応するから、どんな生き物でも作用するぞ】
(なるほど。
という事は)
エグゼルが最後まで語りきる前に、どこか遠くからズシンという音が聞こえてくる。
【……あー、その…なんと言うか……今の音はもしかして、と言うより間違いなく……】
『相棒』の歯切れの悪い声が、頭の中に響く。
(……もしかしたら、どの動物達も飢えているのかもね。
飢えていたから、僕が相手だろうが喰おうとした。
そう考えれば、合点がいくよ)
2人(?)が話をしている間にも音はどんどん近づいてくる。
そして、彼はようやく音の発生源を視認した。
たっぷりと呼吸をとってから、彼は半ばうんざりしたような、諦めたような口調で一言呟いた。
「いくら何でもこれは冗談にして欲しいよ」
その瞳の先には小山ほどもある、『超』がつくほどの巨大な生き物だった。