○ 一次創作 ○
□ 弱肉強食
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ヒビから外の世界に出て、エグゼルが真っ先に思ったのは、
(……あ〜……。
自分はどうしてこうもトラブルに巻き込まれ易いのだろう?)
自身の運の悪さの愚痴。
そして彼の周りには、
「GARURURURU……」
「GUROOO!」
「GAUU……」
上顎の2本の犬歯が大きく発達し、体の大きさは人、1人分くらいの大きな猫3匹に囲まれていた。
「……この世界では、何と言う名前で呼ばれる事になるのやら」
この世界の事を『相棒』を通して即座に理解したエグゼルは、ゆっくりと格闘の構えをとる。
「さて、可愛がってあげるよ。
大きな大きなどら猫ちゃん達」
一方その頃、遥か遠くで1つの小山が『動いて』いた。
森の中を進み、通った跡は1本の木も残ってない。
途中で目の前に川があっても、変わる事無く突き進んでいく小山。
圧倒的。
まさにそんな言葉が似合う存在だった。
尤も、その台詞は
「平和だなあ」
先ほどのサーベルタイガーのような生き物が慌てて逃げていくのを、傷1つ無く見ているという彼にも言えるのかもしれない。
【……お前にとって、猛獣と張り合うのは平和な事なのか?】
そんな彼の頭に響いてくる先ほどの黒ずくめの男の声。
「自然の掟は弱肉強食。
人間同士の泥沼の戦いに比べれば、ずっと平和だと思うよ」