きっと夢中にさせるから






今日も、用もないのに
東風先生の所に行くアイツ。
そこにかすみさんが来て、先生がおかしくなって、
それを見て辛そうにしてるアイツ。

本当にバカだよな…

そんな思いをするくらいなら、
はじめから先生の所になんか行かなきゃいいのに。

行って落ち込んで、でも意地張って

「私は落ち込んでなんかいない」みたいな態度で、今俺の前を歩いてる。


でも、
そんなアイツの後ろ姿はとても小さくて儚くて…

こうして俺が見張ってないと消えてしまうんじゃないかと思えてしまう…

…なんとかしてやりたいと思った。

別に理由なんてない。

ただ、可哀相だと思ったからだ…

それだけだ…

別にアイツが悲しんでようと俺には関係ねぇけど、
なんとなくほっとけねぇ。
俺って優しいからなっ。


…でも、どうすればアイツはもう悲しまなくなるんだ…?

どうすればアイツは笑ってくれる…?

自慢じゃねぇが
俺は恋愛経験は皆無だ。

今まで親父と二人で旅という名の放浪生活を続けてきたから、女と関わったことすらほとんどない。

格闘一筋の16年間だった。
それが俺の性分にも合ってたしな。

だから女心ってやつも理解できないし、あいつにかけてやる言葉も見つからない…


う〜〜〜〜ん……

これが格闘なら俺にもわかるんだが…


……そうだ!

格闘に置き換えてみたら何か見えてくるかもしれねぇ!






『どうした乱馬よ。筋肉痛か?…全くふがいない!』

『筋肉痛を治したいならばもっと運動することだ。そうすれば古い痛みは消え新しい痛みがやってくる』

『それを繰り返していくうちに立派な武道家になるための体を手に入れることができる!』






…そうか…

古い痛みを消すためには新しい痛みを、

…古い恋を消すためには新しい恋を、だ!

あの馬鹿親父もたまにはいいこと言うじゃねぇか…!


アイツが新しい恋愛をすればいいんだ!

そしたら東風先生のことで悩んだり苦しんだりしなくて済むじゃねぇか!

そうだそうだ!
アイツに新しい恋愛をさせよう…!


あれ…?

でも誰を好きにならせればいいんだろう…?



久能…は却下だな!
あんな変態ありえねぇ!

第一、なんでアイツを久能に惚れさせなけりゃいけねぇんだよ!
って俺は別に関係ねぇけど!!

クラスのヤツら…も却下だ。
なんか想像すると腹が立つ…
なんでかわかんねぇが…


じゃぁ、誰だ…?

あいつの周りに他に男なんて…



……いる……


…まぁ、
『この人物』ならアイツも文句はねぇだろうけど、
いっつも喧嘩ばっかしてるしなぁ〜…

それに『この人物』だって別にアイツのことなんて…


ま、まぁ、それでも
今よりはマシな状況にはなるだろうしなぁ〜。


…しょーがないから協力してやるか。


あくまでも『アイツのため』に。
別に俺はどっちでもいいんだからなっ。

ただお前が辛そうにしてるから!
可哀相に思ったから!
しょーがなくだからな!!


をーし!
そうと決まったらさっそく実行に移すぜ!


『アイツ』が『俺』のことを好きになるように…!


待ってろよ、あかね!

きっと、夢中にさせてみせるからな…!

東風先生のことなんて
考えられなくなるくらいに!


…さてと。
…まずは、優しい言葉の1つでも掛けてやるかなっ。

…できるかどうかはわかんねぇけど…


俺は目の前の小さな背中に向かって駆けだした。

end...


★あとがき★

なんか終わり方が微妙…
しかもぐだぐだ…
こんなんでスイマセン(土下座
玄馬さん絶対こんなこと言わないよな〜とか思っても深く突っ込まないで〜泣
まぁ、初めてのお題小説なんでということで許してくださいぃ〜汗




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