<きらびやかな日々>
今日で綱吉とは3年目の付き合いになる。
しかし、彼氏・彼女、というわけではなかった。
でも、私は色々と綱吉に助けられてばかり。
私はいつも、いつの間にか綱吉を目で追いかけている。
「はぁ…」
「何ため息ついてんだよ…」
「綱吉…」
綱吉が息を切らして私のもとにきた。
綱吉は目が良いし、勘も良いから、私が悩んでいるのも分かっているのだろう。
(なんで分かるのかな…)
「なぁ…」
「ん?」
綱吉が声をかけてきた。
その顔は、少し…赤い。
「君は…そのっ……えと…」
「好きな人がいるかって?」
「……ぅ、うん。」
「私、私は…………」
自分で言っておきながら、好きな人など見つからない。
(気になる人……ぁ…いた。)
「…いないの?…………なら………」
綱吉がゴクリ、とつばを飲み込む音がした。
「オレと付き合ってください。勿論、結婚前提で…」
綱吉の顔は真剣そのものだった。
私は、気になる人がいる…それは…
「……………もだ。」
「…………へ?」
「私も…綱吉が気になる人だ。………好きかどうかは分からないが。」
「ほんとに?」
「うん。…嘘じゃない。」
「本当の本当に?」
「本当の本当だよ。」
クスクスと私が笑えば、ヘラリと綱吉が安心したように笑う。
「じゃあ…オレと結婚前提で付き合ってくれるの?」
「うん…。私は綱吉が気になるんだ。コレが“好き”かどうかはわからないが………」
「大丈夫…オレが好きに変えさせてみる。」
フフフッと笑ういつもと違う綱吉にドキリ、とした。
(やはり、好きなのか?)
「じゃあオレ達はカップルだね!なんか嬉しいや!」
そう言った綱吉が眩しくて目を細めた。顔が熱い…
「照れてるの?可愛い…。」
「…照れてない…。」
可愛い、なんて言われたことが無かったから余計に顔が熱くなる。
「フフフッ。あ、付き合う記念に、何処かに行こっか!」
「え…?」
いきなりの綱吉の提案に目を丸くする。
「何処がいい?」
「…!どっ、どこでもいい…と思う。」
綱吉の顔がドアップで目の前に迫る。
「じゃあ、…ドライブしよっか。海、見に行こう。」
「うん。海…な。」
綱吉の顔が直視出来ない。
(あんなにカッコよかったか…?)
「何見てんの?」
「い、いや。なんでもない。」
「ふーん。」
綱吉の顔がまた目の前に有る。
(え。…?)
柔らかいものが口に当たっている。
(もしかして…っっ……!)
綱吉の顔が離れる。
自分の顔が赤くなるのが分かる。
「顔、真っ赤…可愛い、タコ見みたい…ふふ。」
「っ…!」
両手で自分の顔をかくす。
「もしかして…ファーストキス…?」
「…」
そう。綱吉は私にキス…をしたのだ。
びっくりと恥ずかしさで固まっていると手を握られた。いわゆる…恋人繋ぎという奴で。
「なんか恋人っぽいね。…っていうか、恋人だしね。」
カアァァっとまた赤くなる自分の顔。
「ほら、いこ?ドライブ。」
「ぁ…ぅ うん。」
助けられてばかりの私は、また綱吉に頼りっぱなしになるのだろうか。
「待って!綱吉!」
「ん?」
すぐそこで綱吉が止まり、振り返る。
「何?」
「私がっ…そのっっつ、…つ、つつなっよしにっ…」
「落ち着いて?オレ、そんなにつ、多くないよ。」
「う、うん。…ふぅ。」
「落ち着いた?」
「うん。…えっとな、私が綱吉に迷惑をかけっぱなしなんだけど、これからも…そうなるかも…「大丈夫だよ。」
「……綱吉…。」
「大丈夫。オレも十分に迷惑かけてる。」
「そんなこと!!」
「無くないよ。でもさ…付き合うんでしょ?ならそんなこと関係ないよ。2人できらびやかな日々をつくっていこ?」
「…綱吉…。」
「返事は?」
「うん。つくっていこう。綱吉といっしょに。」
「ね?じゃ、ドライブ開始ね。ほら、車のって。」
「うん。」
車にのって、流れる景色と隣りで運転している綱吉を交互にみた。
(綱吉と私で…2人で…)
つくっていこうじゃないか。きらびやかな日々を。
→オマケ&アトガキ。