長宗我部元親(学バサ)











「お前知ってるか?」


「は?何が?」





学校の帰りにコンビニで買って貰ったコーヒー牛乳を飲みながら、私は隣を歩く元親を見上げた。この男は肝心の要点を出し惜しみする癖がある。しかも何か言いたくなさそうにあーだのうーだの言っている。じゃあ言わなきゃ良かったのに。バカか。





「俺も直接聞いた訳じゃねーんだけどよ、隣町のヤツら、お前のこと女スタン•ハンセンっつってるらしいぜ?」


「誰それ。めっちゃ強そうじゃん」





ズゴーと最後のコーヒー牛乳を飲み干した私に元親はびっくりしていた。は?別にいいじゃん音立てたって。元親相手に女子っぽいことするわけないじゃん自惚れんな。と思っていたら、どうやらそれに驚いていたわけでは無かったらしい。「は?お前知らねーのハンセン」だって。だから誰だよその外国人。外国人、だよね?





「あんだけプロレス技知ってんのに?」


「技は知ってるけど試合とか見ないもん。プロレスラーなの?」


「おうよ、日本プロレス界を支えたアメリカ人だ」


「へー、すごいじゃん。アタシすごくね?」





ちょっと嬉しそうにスキップしかけたが、元親は「まぁ、確かに強かったんだけどよ」とまた言いよどむ。だから、だったら言わなきゃよかったじゃん!





「専ら日本じゃヒールだったんだよな」


「元親、隣町行かね?」






※スタン•ハンセン…アメリカ人プロレスラー。別名:テキサスの暴れん坊、壊れたダンプカー。得意技はウエスタン•ラリアットなど






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