黒子

□14話
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「先輩先輩、今吉先輩」




昼休み休憩中、なんやかわいい呼び方する子もおるもんやなー思うたらなまえちゃんやった。うんまぁ、なまえちゃんもかわいいねんけどな。そんな彼女がドアに半身を隠してちょいちょいとワシへ手招きしてきた。いや、かわいいんやけどな。





「なんやねんなまえちゃん、告白かいな?」


「あ、先輩にコクるとか事務所的にNGなんで」


「なんやねんそれ、自分アイドルやったんか」





ケラケラと笑うとなまえちゃんもそのやり取りに微笑んだ。一通り掛け合いをしたあと、ようやっと本題へと話題が移り、なまえちゃんは俺にコショコショと耳打ちを始めた。なんやなまえちゃん、それめっちゃおもろいやんけ!





「じゃあまた部活でな」


「はーい」





***





「すまんなーなまえちゃん、青峰連れてきてもろて」


「いえいえ、朝飯前です」


「くっそなまえ…お前後で覚えてろよ」


「やだ青峰くん…あんまり激しくしないでね?」





ほんまなまえちゃんおもろいわ。青峰顔真っ青やんけ。なんで真っ赤ちゃうねん。せやけどなまえちゃんはほんまどうやって青峰連れてくるんやろか。幼なじみの桃井でも、比較的やつと仲の良い桜井でも連れてこられへんのに、弱味でも握ってんとちゃうか?
そんなこんなでいつも通り(青峰おるんやけど) 部活して、休憩中なまえちゃんからドリンクをもらった瞬間が状況開始の合図や。




「はい、今吉先輩。あ、そういえば」


「ありがとー。なんやねん告白かいな?」


「違いますって。先輩って、トトロ見たことあります?」


「おー、あるで。ワシ中トトロしか見たことないねんけどな、なまえちゃんも会うたことあるん?」


「はい、私は一緒に遊んだのは大きいトトロだけなんですけど」


「大トトロなんてめっちゃレアやんけ!せやせや、諏佐も会うたことある言うてたわ。なぁ諏佐?」


「…あぁ、俺は全員とよく遊んでたぞ。まぁ小さい頃の話だが」


「え、ホントですか!?羨ましいっ」





なまえちゃんとの打ち合わせ通りに話をしとったら、近くでドリンク飲んどった青峰がめっちゃ驚いとった。ちなみにこの遣り取り、桃井や桜井にも連絡済みや。若松はおもろそうやから何も言うてへん。





「え、なまえトトロ見たことあるの!?いいなー」


「僕、マックロクロスケなら見たことあります」


「桜井くんもズルーイ」





なんやここの部員、演技力ハンパないわ。見てみい青峰と若松のあの顔。ありえへんみたいな顔やけど、ホンマに信じてるやん。





「で、青峰くんはいくつぐらいまでトトロ見えてた?」





私は中学入ったくらいからからっきしなんだけど、と言うなまえちゃんが一番の女優やな。流石言い出しっぺや、アカデミー賞獲れんとちゃうか?しかもあの有無を言わさぬ質問。ありゃ見たことがないなんて言えへんで。





「俺は…」





うんうん、と頷くなまえちゃんと桃井。もともとかわいい子らやから、興味津々に目を輝かせると余計かわいいわ。根は真っ黒やけど。





「つい最近まで一緒に遊んでたぜ」


「「「「「ブフゥゥゥーーーっ!!!!!」」」」」





安心しいや若松、ワシらかてホンマはトトロ見たことないんやで。

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