黒子
□7話
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「真ちゃん」
「なんなのだよ」
「あの子めっちゃ可愛くない?」
高尾の指差す方向には、背筋をピンと伸ばして陳列棚を見つめる同世代の女子高生がいた。桐皇の制服を着た彼女をよくよく見ると、それはなまえであった。
「あれは…」
「え、真ちゃん知り合い?羨ましいー!おーい!!」
「ちょっ、待つのだよ!」
「あ、こっち向いた。やっぱ可愛い」
なまえが声のする方向へと顔を向けると、そこには緑間ともう一人同じ制服を着た男子生徒がいた。緑間の方はわたわたと焦ったようにこちらと男子生徒へと顔を向け、男子生徒の方、恐らく呼びかけたのはこいつだ、の方はニコニコしながらこちらを向いている。
「久しぶりね、緑間くん。今日のラッキーアイテムは同級生の男の子?」
「ぶはっ!何そのラッキーアイテム超ウケる!!」
「ち、違うのだよ!高尾は部活の、「まー冗談だけど」ぐっ…」
なまえと高尾は軽く自己紹介してから、緑間をからかっては爆笑していた。成績優秀でプライドエベレスト級の美形も二人にかかればとんだ弄られ要員である。
「そういえばなまえちゃんって桐皇でしょ?やっぱさ、青峰大輝と仲良いの?」
「まー悪くはないかな。アホ峰の勉強見たりしてるし。高尾くんはいいわね、緑間くんが優秀で」
「勉強はねー。でもほら、真ちゃんわがままじゃない?振り回されっぱなし」
「う、うるさいのだよ高尾」
「でも美人さんのわがままだったら良いじゃない?私のなんてアホなだけだもの」
まるで母親の井戸端会議に付き合わされている息子のような気分になってきた緑間は、正直飽きていた。それに気付いていたなまえではあったが、だからと言って先に帰ろうとはしない彼を見て噴き出した。
「な、なんなのだよ」
「いや、つまんないなら先に帰ればいいのになーって思ったのだよ」
「っ、」
どうやら緑間の中でその発想はなかったらしく、頬を染めて俯いた。見逃さない高尾はまたもや噴き出した。
「うううううるさいのだよ!!俺は、別に飽きてなんか…」
「ふふ、いいっていいって。じゃ、私そろそろ帰らないといけないから。またね高尾くん、みかん星人」
「みっ!?」
「ぎゃはははははっ!!!真ちゃんみかん星人だって!何それ傑作!!」