黒子

□6話
1ページ/1ページ


部活がないにも関わらず、緊急で委員会会議に呼ばれてしまった桃井を、なまえは屋上で待つことにした。バッグを枕にごろんと寝転がり、読みかけの文庫本を開いた。黒子から勧められたミステリー小説なのだが、普段そのジャンルを読まない彼女にとっては久しぶりの当たりであった。





「おい」





読書に集中していたなまえは、突然降ってきた呼びかけに小さな悲鳴を上げて肩を揺らした。頭を上げると、そこには褐色の肌を持つ友人が彼女を見下ろしていた。





「驚き過ぎだろ」


「読書に集中してたから…まだ心臓ドキドキしてる」


「ふーん。てかなまえが屋上とか珍しいな」


「天気いいし、今さつき待ってるの。青峰くんは?」


「寝に来たに決まってんだろ」





どっこらせ、となまえの隣に腰を下ろしたかと思えば、青峰はうつ伏せで寝転がる彼女の腰に頭をのせた。どうやらなまえの腰を枕に惰眠を貪るらしい。





「重いんだけど。頭空っぽのくせに重いのは何で?バカなの?アホ峰なの?」


「てんめ……お前こそこの肉は何だよ、母ちゃんの腹ん中にくびれ置いてきたか?」





ぷに、と腰の肉を摘まれたなまえは、必死で抵抗しようとしたのだが、如何せん青峰が乗っかっているため身動きが取れなかった。ジタバタと手足を動かしても、青峰はニヤニヤしながら彼女のそれを器用に避けていく。結局抵抗するのを諦め、なまえは重いと思いながらも本を読み直した。青峰も青峰でいよいよ睡魔の誘惑に負け、ゆっくりと瞳をとじた。女性特有の柔らかい肌の感触や、うっすらと香る香水の匂いも彼にとっては睡眠導入剤のようなものである。





「私、決めた」


「んー?」


「シックスパックつくるわ」


「くびれ作れよ」

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ