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□シロクマ
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シロクマ
十四郎さん、おかえりなさい
「ああ、帰った。ただいま」
ずいぶん遅かったんですね、お疲れ様です
「まいったよ、総悟がまた無茶しやがるもんだから」
総ちゃんたら、あまり無理して怪我しなきゃいいけど
「心配すんな、あいつはそんなにヤワじゃねぇよ」
そうかしら
「俺を盾にしてでも生き残るやつだよ。心配いらねぇ」
あら、あれで総ちゃん、十四郎さんのこと頼りにしてるんですよ
「どうだかな。あぁ、腹減った」
ご飯できてますよ、お風呂も沸いてますけど、どちらを先になさいますか
「そうさなぁ、先に飯にすらぁ。腹が減って減って仕方ねぇ」
あらあら、今夜もお仕事お持ち帰りなんでしょう?しっかり食べてくださいね
「お前の飯は美味くっていけねぇ。言われなくてもいつも食べすぎだ。最近腹が出てきちまって…ホラ」
いやだ、全然お腹なんか出てないじゃありませんか。おだてたって何も豪華なものは出ませんよ
「いいよ、豪華じゃなくたって」
ええ、本当に?
「豪華じゃなくて、いい。お前がいて、お前が迎えてくれて、お前が飯つくってくれて、お前と暮らして、お前と生きていくなら」
十四郎さん
「そんな生活も、よかったのかもな」
十四郎さん
「きっと幸せだったんだろうな」
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