短編小説
□若かりし日の恥
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「親父、俺のアルバム知らね――」
言い終えるより先に、俺は渾身のチョップを繰り出した。
「ばっきゃろー!親に向かって何しやがるっ」
「何勝手に人のアルバム見てやがんだ!」
今度は右ストレートを繰り出しながら叫んぶ。
「別にいーじゃねぇか。アルバムぐらい」
「よくねえっ!」
ソレにはとんでもないモノが挟んであるのだ。早く取り返さねば!
「馬ぁ鹿。んなパンチ当たるわけが……ん?」
――ひらり。
何か白い紙が落ちた。
「げ!?」
慌てて手を伸ばすが親父の方が早い。
「……ははぁん?」
にたり、と親父が笑う。
「ぎぃやあぁ!?」
それは俺が中学の時に書いた恐ろしい品だった。若気の至りだが、今となっては恥ずかしい以外の何物でもない。
「ほっほー。若いねぇ」
「止めろおぉ!」
必死の攻撃を親父は笑いながらかわしていく。
――そして。
「兄貴、どうした?」
「…ほっといてくれ」
俺の心の傷は深かった……。