黒い本
□犬と主
5ページ/6ページ
「何を食べるのだろう…」
誰も居ない厨房
背伸びをして巨大な貯蔵庫の戸をあける
やっぱり肉でいいのかなぁ?適当に持って行くか。
勉強から抜け出すわ、厨房から勝手に肉は持ってくわ…見つかったらどんな罰になるやら
そう考えながら抱えた肉を持って外に出ようと勝手口の戸を引こうとした
ドンッと、引くよりも早くに戸が開く
「マテナカッタ!」
尻尾を振って飛びかかる屍犬
これが、幼少期に初めて出会った友人だった。
それからと言うもの、俺は剥製部屋にこっそりと彼を住ませて
毎日死骸を持って行った(それはそれは手間のかかる主食さ)
その頃には友人の正体についても大体掴めて来た。
図書室にあった異界について記された伝記等が、死の世界についてを語ってくれた。
少年の黒い願望、生命を冒涜してでも得たい永遠への夢は、更に深まったと言うわけだ。
忍ぶのは得意だった方なので、結局誰にも友人やコレクション達がばれる事はなかった。
だが、一人の子供が匿う部屋ほど頼りない物はない。
大崩壊
それは唐突にやって来た