黒い本

□犬と主
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階段を駆け下りて、裏口に向かう
殆どの人間は他事に気を取られていて
小さな子供が駆け抜けて行ったって気にはしない
扉を開ける
そこに、ソイツは居た。
「犬…?だよな」
何の躊躇いも無しに近くまで行く。
あちこちから妙な突起を生やしたそれは、骨格から見た所確かに犬科のそれであった。

そしてそれは確かに死んでいた

眼下はぽっかりと空洞になっていて、あちこちから肉やら骨やらが覗き、生物の死骸特有の臭気が鼻をつく。
紛れも無い死体だ。
後はこれを、秘密の部屋に運びさえすれば…
と、誰にも見られていないが俺は周囲を確認する。
辺りをキョロキョロと見渡すが目立つ気配は感じない、
その時だ。
視界の端で何かが動いた
抜け出したのがもうバレたのか??いや、そんな筈は無い!
さっき見渡したじゃないか、
ここには自分と犬の死体以外は何もなかったじゃないか

ならば、動いたのは…??
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