黒い本
□犬と主
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「…犬の…死体?」
子供の俺は本を投げ出して、窓に張り付くように外を見た
ああ、我ながらひねくれた幼少期だと思うよ。俺の興味をくすぐったのは
永遠に形を残せるモノ、剥製になりうる動物の死体だったのだから
漆黒の毛並み、しかし一部の肉は露出し、あちこちから妙な骨のようなものが突き出している。
犬かどうかも怪しくなってきた。
もう少し傍に寄って見てみよう!なぁに、どっちにしろ持って帰るんだから何ら問題無い。
城の賑わうある昼さがり、ひねくれものの、無鉄砲なガキは駆け出していったのさ。