黒い本

□犬と主
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あれは
いつ頃だったろうか

ああ、そうそう
まだ俺が背伸びをしても棚の上に置いた物が取れなかった頃に
俺はアイツと出会ったんだった。


〜犬と主〜


異界に住む別次元の存在を呼び寄せる儀式に成功し、城の一室は教団の人間やら科学者やらで賑わっていた。
この時間、いつもなら付きっきりの教育係も、
身代わりに教鞭を受けていた使用人の息子も居ない。
俺は一人ぽつんと部屋に残り、本を読んでいた。

創世神の神話だったか。

ああ、我ながらひねくれた幼少期だと思うよ

俺の好奇心をくすぐるのは感嘆と驚愕の声の出所でも無く。
観衆の注目の的の未知の存在でもなかった。
まして今読んでいる本の続きでも無かったし、
窓の外に見える犬の姿にだって勿論興味を示さなかっただろう。

それが、普通の犬であればだったのだけれど
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