STORY
□夢に架ける橋
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【prologue】
本来、男というのは至極単純な生き物だ。
もちろん、この高原平次も例外ではない。
「まだかなあ…」
食堂の窓際の席を三人分確保するのが、彼の日課。他でもない、好きな人のために。
学部が違うため、唯一会える昼休みに命をかけている。
「あ、こっちこっち!」
ガタンと立ち上がり、きょろきょろしている二人組に大きく手を振る。
「おはよう、籐子さん!」
胸中どっきどきだが、それを隠して爽やかに挨拶を交わす。
「ちょっと、私にも挨拶は?」
「ああ、おはよ」
平次が適当に返すと、むかつくー!と言って足を蹴られた。