STORY

□夢に架ける橋
3ページ/157ページ

【prologue】

本来、男というのは至極単純な生き物だ。

もちろん、この高原平次も例外ではない。

「まだかなあ…」

食堂の窓際の席を三人分確保するのが、彼の日課。他でもない、好きな人のために。

学部が違うため、唯一会える昼休みに命をかけている。

「あ、こっちこっち!」

ガタンと立ち上がり、きょろきょろしている二人組に大きく手を振る。

「おはよう、籐子さん!」

胸中どっきどきだが、それを隠して爽やかに挨拶を交わす。

「ちょっと、私にも挨拶は?」

「ああ、おはよ」

平次が適当に返すと、むかつくー!と言って足を蹴られた。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ