中編

□1回目
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『ちょいとお兄さーん 危ないよー』





そう聞こえたと思ったら びゅうっと風が吹いた




しかも妙なことに その風は湿気を帯びている



と同時に感じた殺気に 持ち前の反射神経でひょいっとしゃがむ





ぱしゃっ




頭の上で遊んでいるかのような水音がして一瞬の強風と共に地面に人間が降り立った





『よいしょっ ごめんなさーい お怪我はありませんか?』




明らかに悪びれた様子のない声に顔をあげる




目の前に立っていたのは 自分と年の近い一人の女だった




「別に」




こういうのにはあまり関わりたくないたちなので そっけない返事をして 彼女の脇をすり抜けようとした









『あぁっ!!頬切れてる!大丈夫じゃないじゃないですかァァ!!』




チッ いちいちうるせー野郎でィ 耳元で騒ぐな




手で自分の頬に触れれば 指に血がついた





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