中編

□9回目
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……………

真選組出動隊が到着する頃には浪士は残っていないだろうと言えるほど あんなに数のいた浪士は斬られていた
沖田ただ一人でそれだけを倒したのだ
会合中であった幕府官僚達は犠牲者が出てしまったものの それでも無事救出された者もいた
犠牲者が出たと聞くと被害が大きいと言う印象を受けるが 以前あった高杉による幕府官僚皆殺しの事件に比べれば 被害は小さいものだ


官僚達には逃げられ 多くの仲間を殺された浪士達の取る行動なんて 一つしかなかった



中にいた客も従業員も逃げ出してしまい静まり返った料亭に帰ってきた沖田は 室内に漂う妙な臭いに顔をしかめた


「これは…」


次の瞬間生き残った浪士が背後から斬りかかってきた
もちろんこの程度でやられる沖田ではないから 自分が斬られるよりも先に相手を斬った
しかし 沖田は気づいていなかった
それがただ意識を反らすための囮にすぎなかった事に


「沖田総悟ォォォ!!貴様もこれで終いだァァァ!!」


叫び声のあと どこからか現れた浪士が火のついたライターを床に投げ捨てた


「何っ…」


反射的に体を傾け部屋から転がり出た
その瞬間部屋が火で包まれた


「…やべーな」


妙な臭いの正体はガソリンだったらしい
先ほどの部屋以外にもまいていたらしく 火の回りがはやい

恐らく自分を道連れに自害しようと言うのだろう
早いところこの建物から脱出しなければならない しかし まだ避難していない一般市民がいる可能性がある

普段ならとっとと逃げるもののまだ応援の隊が来ていない 一般人から死人が出たなんて事になればめんどくさい
沖田は小さく舌打ちをすると まだ火が回っていないところを探しながら奥へと戻る事にした



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