中編

□4回目
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つらくなって俯いた瞬間 凄まじい勢いで一本の刀がこちらに向かって飛んできた




「うわっ」




瞬時に一人が 私の首に突きつけていた刀で それを弾いた




カンッ



甲高い金属音に思わず両手で自分の耳を塞いだ





「亜夢!飛びなせィ!!」




『え…?』




塞いでいる指の隙間から 確かにそう聞こえた





『総悟 私には翼とか無「飛び降りろ!!受け止めてやるから」…なるほど!』

そういう意味の飛ぶだったのね




攘夷浪士達に隙ができた今がチャンスというわけだ




私は素早く窓のサッシに足をかけた




普段から 水や風に乗って 高いところに居るが こんな時はやはり不安になってしまう



本当は飛び降りるのを躊躇したが 四の五の言ってられない
また総悟に迷惑をかけてしまうのは 絶対に嫌だった

…それに、総悟を信じたかったから




サッシを蹴って私は飛び降りた





自分を襲うかもしれぬ衝撃が怖くて 目を瞑ってしまった





『っ………』




「怖い思いさせちまってすまねェ」





次に目に映ったのは 地面ではなく 彼だった





『…ううん 平気』




一瞬。



ほんの一瞬だけ
彼の凛とした姿に見とれてしまったのは ここだけの話




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