中編

□1回目
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『はい 到着ぅぅ』




ほんの2、3分の飛行だった




ストッと軽やかに地面に着地した俺たちの目の前には 見慣れた木製の門





『おっきいですなぁ』





まだ体が浮遊しているようにふわふわしている





「じゃーな 二度と俺の前に現れんな」




片手をあげて『ひどーい』とか声をあげてる女をシカトして 屯所の敷地内に足を踏み入れる






だが やはり気になった



コイツは何者なのか




「おい女ァ」




『女…?あ 私か!』





わざとなんだかマジなんだか知らんが そのボケうぜー




「お前 名前は?」





そう聞くと女は一瞬驚いたような顔をして




『亜夢!宮日亜夢だよ』




にこりと微笑んだ


そして



『お兄さんは?』



小首をかしげて俺に尋ねた





「沖田総悟」




俺は一言 そう言うとくるりと背を向け




「あばよ 亜夢」




ひらひらと手を振りながら 再び歩き出した





『あばよ 沖田総悟ォォ!』





俺の真似をしてか 俺が言った内容と同じような叫び声が背中にぶつかった





その声にチラリと後ろを盗み見たが そこにはすでに誰もいなかった




落ちていたであろう葉たちがキラキラ輝くしずくと共に遊ぶようにくるくると風に乗り 地面近くを舞っていた





俺はそのまま自室へ戻り 念願のドラマの再放送をみた




だが 体に残ったあの心地よさが邪魔して ドラマの内容なんて右から入って左から出ていくだけだった





今日は変な女に会った




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