中編

□9回目
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土方さんが追いかけてたヤマがテロを起こした


その連絡が入った時 巡回ルートから外れて暇をもて余していた俺が一番現場の近くにいたため とりあえずそこを目指して走り出した とくに何かを思ったわけでもなく ただ走るだけ
もしかしたら何も考えたくないだけなのかもしれない


現場に近づくにつれて人が多くなる
野次馬とも呼べる奴らは俺の姿を見た途端道をあけた
その道を走りながら 市民に避難するよう呼びかける
本来はこういう事は平隊士がやるものだが 今この場には俺しかいないため 全てを一人でやらなければならない めんどくさい事だ


現場となった料亭が目に入った そこからは細く煙が上がっている
幕府官僚が会合を開いていたらしいから 恐らくそれが目的だったのだろう




閉めきられた真っ正面の入り口から勢いよく中へと入った


「貴様は…真選組の沖田!!」


いきなり開いた扉と現れた人物に 入り口の守備を任されていた一人が目を見開くが その瞬間彼の背から血が吹き出し身体はそのまま地に伏した


「御名答」


いつの間に動いたのか 倒れた浪士の後ろにいた沖田は顔に飛んだ血を袖で拭い 刀を振り付着した血をはらった


「さァ…死にたい奴からかかってきなァ!!」


その凄まじい殺気に浪士達は一瞬怯むが あっさり切り捨てられた仲間の仇をとるべく 一斉に沖田に斬りかかった


「怯むな!!相手はあの沖田と言えど一人 恐れることはない!かかれェェェ!!」


「はっ…近頃は死にたがりが多くて困りまさァ」


鼻で笑うと刀を構え 次々と敵を迎え撃つ

余計な事を考える暇ができないように ただひたすら剣を振るった



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