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御礼小話は連載番外編ですが単品で読めます↓







「……んっ、もうやぁ」

「これくらい我慢しなせぇ」


俺が日課のミントン素振りから部屋へ帰ろうとしていると、隣の新しい部下の部屋からなにやらただならぬ声が聞こえた。

苦しげというか切なげというか、吐息混じりに弱々しく拒否の言葉を吐き続けている。

立ち聞きなんて良くないと分かってはいても、足が襖の前から動かないし、気になって気になって仕方ない。
俺は襖に耳を押し当てて息を潜めた。


「総悟…っもう…これ以上はむり…!」

「大丈夫でさァ。ほら、楽になるから、ゆっくり息吐きなせェ」

「んぅ…!いたいよ!馬鹿!」

「痛くてもいいっつったのはお前だろィ」

「…意地悪、ドS」

「そんなに褒めないでくだせェ」

「っやぁ!だからいたいってばぁ!」

「おっと手が滑っちまった」

「……っはぁ、さいてー」

「そんな目で見ても無駄ですぜ」



「ど…」

…どど……

どどどどうしよう………


まさかとは思うが…これ完全に真っ最中じゃないか…!

急に冷や汗とかいろんなものが溢れてきた。


いつからあの子と沖田隊長そんな仲になってたのいやそれより二人共真っ昼間から何して…いやナニしてくれちゃってんの個室だからって完璧に丸聞こえだよ見せ付けたいのか聞かせたいのかそうなのかもうあんたらどうかしてるぜ!!!!!!(※ブラマヨ風に)

なんでだろうものすごく裏切られたような気分で超ショックだ。
いや何に裏切られたのかも何が超ショックなのかもわからないけれど。

そして原因不明のショックの余り俺の目には涙までにじんできてしまって、視界が悪くなったのと同時に立ちくらみをおこした。

ふらりと重心が崩れるのと同時に体を支えようと襖に手をつき寄り掛かったのが間違いだった。

けして新しくはない屯所の、しかも建て付けは最悪な襖に大の大人の体重を支える力なんてなかったのだ。

「う、わっ」

みしみし、バタン!と襖が部屋側へと倒れていって、しまったと思った時にはもう遅かった。

これで俺は変態覗き魔野郎のレッテルが貼られてしまうのか。
真選組もきっとクビにされてしまうんだろうな。
一緒に稽古したり俺に笑いかけてくれたあの顔に気持ち悪いって吐かれて蔑みの表情で見られるのか。

もうやだ死んでしまいたい。


体ごと倒れ込む衝撃から自分を守るためにぎゅっと目をつぶり身を強張らせていたのだが、いつまで経っても彼女たちの悲鳴もなに聞こえない。


「山崎さんだいじょぶですか?」


「はっ!?」

あまりに平然と声を掛けられたもんだから、驚いてガバッと身体を起こせば、実にいつも通りの二人が座っていた。

かたや沖田隊長は膝立ちで彼女の背中を押していて、かたや彼女は長座体前屈である。
組んづ解れつな体勢でもなければ服も乱れていない。


なんか嫌な、いや良い予感なのかな、とにかく予感が、する。


「えと…二人共、一体なにを」


「見て分かんねェか?柔軟でさァ」

いや分かってるといえばもう分かってるんだが。

「私ってばほんと身体硬くってどうしようもないんで、総悟に手伝ってもらってたんですよー」

「なのにコイツマジ根性ないんですぜ」

「あんたが容赦無さすぎんでしょーがこのサド王子」


楽しげに悪態をつきながら話す二人に置いてかれてる感が……いや、俺が突っ走りすぎてたんだけどね!

変な目線で二人を見てマジすんません!
でも何故だろうすごく安心する!
ただのストレッチじゃん!
なにを勘違いしちゃってんの俺超気持ち悪い!
やっぱほんとに気持ち悪い!

こうして頭の中では一人で合点して騒いでいるが、表に出ている顔といえばみるみる暗くなる一方です。ほんと。

「あの…なんか…すんません」

「「は?」」

「すんません」





壁に耳あり
障子にメアリー
襖にジミー ←New☆

(もうやだ死んでしまいたい)
((…なんだこいつ))







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