命短し旅せよ乙女!
□第三話 中間管理職Yの報告書
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もうなんもかんもわからない
あの子のちょっと(?)妙な姿の意味も
普段は慎重なはずの副長の考えも
………凡人には届かないナニかがあるっていうのか。
俺に対する当てつけかよ全く。
「急に何だってんですか」
案の定早くに意識を取り戻した少女――名前は蓮見千早――にぶっつけ体当たりの黙殺交渉を試みていたところを、副長に(かなり乱暴なやり方で)バッサリ解決され、急に廊下に引っ張り出されてしまった。
「それに…ただの女の子を真選組に住まわせるなんて、無茶もいいとこじゃぁないですか」
そこまで言い終えると、副長は少し苛ついた様子で紫煙を吐き出しながら低く呟いた。
「てめぇは馬鹿か、見るからに一般人でもなきゃ家も無ェガキ見てなんか考えねぇのか」
まさか攘夷派の人間だとは言わないだろうか。
ていうか撥ねた側としてその考えはどうなんだろう…
「さ、さぁ」
「…ッチ、山崎お前、総悟の一件忘れたか」
「…あぁ、」
…思い出した。
六角屋の娘が起こした、沖田隊長への復讐未遂の事件を、副長は言いたかったのか。
「当たり屋にでもなって、真選組の株を下げようとした…と言えなくもねぇだろ」
やっぱり俺の考えが浅かったのだろうか、と副長の下にいるとつくづく思う。
だが今は、出来れば副長の深読みのし過ぎであってほしい。
それは罪悪感からか、それ以外の何かなのかは分からないけれど。
「えぇまぁ…。でも、考え過ぎじゃァありませんか?」
そう言っても特に否定せず、随分短くなってしまった煙草を庭の玉砂利へはじき飛ばした。
…アレを掃除するのは俺なんだけど。
「…これは万が一、だ。山崎、お前の隣の部屋、空いてたろ」
「あ、ハイ」
副長は煙草がいなくなって空いた手で、俺をぴしりと指差した。
「休み、やるから見張っとけ。」
「…………えー」
全ッ然、嬉しくない!