命短し旅せよ乙女!
□第一話 サヨナラ短い人生でした?
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―――なんで俺って、こんなに良くない事に巻き込まれるんだっけ
(酔い潰れた局長を車で迎えに)
いつも通りの道を通ってた筈なんだけど
(パトカーで何か轢いたらしい)
一応主張するが俺ではなく副長だ
(…だれか、嘘だといってくれ)
結構な勢いで飛んでいく、何か。
(ライトに照らされた、人型)
ドサッ、がしゃん。
俺は落ちる直前で咄嗟に顔を背けたので、さっき見えた人らしき物体がどうなったかは分からない。
否、分かりたくもない。
音だけでは悪い方向にしか想像力が働かないけれど、道は土なんだから意外と元気かもしれないじゃないか。
俺は、(結局無駄に終わった)急ブレーキで後部座席から落っこちた泥酔ゴリ……じゃない局長を引き上げながら、
悪あがき程度のポジティブシンキングを胸に、運転席の副長の言葉を待った。
「ぁ、あのぅ副ちょ「山崎見て来い」嫌ですよぉ!」
そう言うと思ったよ、えぇ思いましたとも!
だからって事故った張本人はアンタでしょうが!!
「オイ、とっとと行け。さもないと…」
副長の言い終わらないうちに、赤い光と煙の匂いが顔に近付いた。
「…ってちょっとォ!!根性焼きはナシでしょ根性焼きはっ!?!?」
いつの時代の極道だよ!
……なんて言い返せる訳もなく、殺人光線という名の熱視線(と煙草)に焦がされる前に、
俺はいつもより重たく感じるドアを開けたのであった。