+ nobel
□★二人
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危ない道を通る訳でもなく、一般の住宅街をひたすら歩かされた。
もちろん逃げない様に腕は捕まれたまま…。
でもこのくらいの力なら振り切れるかもしれない…。
今すぐにその家に逃げ込むことだって出来る。
ただそんなことしたら、阿久津君のメンツが無くなる…。
同じ中学生なのに…。
まだ、実際は何もされてはいないから。
後、少し。
もう少しだけ逃げるなんて決断は止めておこう。
「俺ん家だよ」
アパートを指差す。
「一人暮らししてんだ」
「阿久津君の家?」
「お前も両親いねぇんだろ?」
どういう意味だろう?
僕が寂しいとか思ったのかな?
姉さんが心配してるって言ったのにな…
「僕、姉さんに電話しないと」
「電話あるぜ」
そう言って僕を掴んだままアパートに入った。