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□色褪せても…(裕周
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あいつを見る時はいつも後ろ姿だった。
俺が弱いから?
弟だから?
でも、今は違う。俺はいつまでも「弱虫な弟」じゃない。
離れてみて気付いたけど、あいつの存在がどれだけ大きかったのか改めて実感した。
いつも笑顔で、家族に気を遣ったり…
兄弟として俺を何度も助けてくれた。
そんなあいつを俺は必要としていたのだ。
日常から消えた時、初めて心に隙間が空いた。
あいつには何だって俺をさらけ出せた。
それは向こうも同じ…。
血が繋がっているから?
たったそれだけのことなのか?
こんなにも傍に居たらと願うのに…。