長編

□思考回路
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屋内と屋外とを分かつ分厚く重い鉄の扉に体重をかけつつゆっくりと押すと、ぶわっと隙間から押し寄せてきた風に目をつむりそのまま扉を開き切った。




「うっわぁ」




目の前に広がる青空の蒼さが目に染みる。柵に持たれて眼下に広がる運動場を眺める。体育の授業の準備をする生徒がちょこまかと動くのを見降ろしていると、バンッ!と勢い良く扉が開いた。




「花道…!?」


「ぃ いたっ!!」




驚きで固まるあたしをビシィ!と指を指す花道に思わず吹き出した。
ほんと、憎めないヤツっ!




「ふふっ どうした?」


「あ いや…その」


「ん?」




珍しく言葉を濁す花道を「おいで」と手招きした。
二人並んで柵にもたれて、夏直前の湿気を含んだ風に髪をなびかせる。




「もう春も終わるね」


「お おうっ」




ぎこちない花道に苦笑いを浮かべた。
花道は、あたしがリンチされた事を自分の所為だと、入院している間毎日のようにお見舞いに来てくれていた。




「あーその 愛…」


「なに?」


「…痛 いか?」




左腕を指してることを察したあたしは、「平気だよ」と安心させるように微笑んだ。




「花道の所為じゃなーいのっ!馬鹿は馬鹿らしく笑ってな」


「愛…」


「花道 あたしはバスケが大好き。あたしの大好きなバスケを花道が始めたって聞いてすごく嬉しかった」


「愛…」


「あたし 花道のバスケ見たいなーっ!今日の放課後 遊びに行っていい?」


「…にゃーはっはっ!!愛もこの天才桜木のプレーに驚くが良い!」




あたしの笑顔を見ていきなり元気が爆発した花道の肩に軽くパンチをして、「期待してるぞ 天才花道」と激を飛ばした。

花道はポジティブだ。すごく。それがきっと強みになるだろう。根性はある。きっと、良い選手になる。

花道の笑顔を見て、あたしはそう思ったの。
花道のプレイが見れることにとても胸が高鳴る。きっと、流川とは相性は悪いだろうけどそれでも二人が一緒に戦っている試合を見れる日がとても楽しみだと思った。




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