長編

□覗き込む
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「古田さんっ」


「何?」


「その怪我どうしたの?転んだの?」


「…平気」


「痛そう…大丈夫?」




ガタンと勢い良く立ちあがり、「大丈夫」と小さく返してから洋平と花道のいる席に移動した。




「よう また囲まれてたのか?」


「見てたなら助けてよ ばか」




むっとした顔をした後、すっと席を離れた。




「どこ行くんだ 愛」


「っさい 洋平も花道もきらい!もうサボるの!」




最後にもう一度「2人のばーか」と言って、愛は後ろの扉から教室を出て行った。
愛を惜しむように、皆が愛が出て行った入り口を見つめていたことに洋平は苦笑いを浮かべ、花道は「ふんがー」と雄叫びを上げた。




「まぁま 次戻って来た時にゃ機嫌治ってるさ」


「そ そうか…」


「お前 まだ愛のこと気にしてんのか?」




「はぁ」と溜め息を付き、花道の机を人指し指で軽く2、3度叩いて表情を柔らかくした。




「アイツは気にしてねーよ 馬鹿」


「だがな洋平…!」


「んな気になんなら追い掛けたらどーだ?」




「アレ」と机を叩いた手で、今度は愛が出て行った入り口を指した。




「し しかし…」


「さっさと行って来い」




最後に「見失うぞ」と付け加えれば急いで出ていく花道。その後ろ姿を見て、洋平はやれやれ息を付く。




「世話の焼ける2人だな」




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