長編

□あたりまえの日常・後編
1ページ/10ページ

5・誘(いざな)われ まだ見ぬ先のどこへ行く!?

「さて、と。
思いがけず時間が空いちゃったけど、どーしたもんかしらね。
みんなどこか行きたいところはある?」

予想通り、男性陣は無言で首を横にふる。

「はいはーい!
リナさん、わたし、ちょっとお買い物につきあってほしいお店があるんです!!」
と大きく手を挙げて、アメリア。

「…めずらしいわね。あんたが行きたいお店なんて。
よし、男性陣は大体いい時間になるまでどっかテキトーにぶらぶらしてて。あたしはアメリアと買い物に行ってくるから」
「おう!」

あたしのことばに、一も二もなくうなずくガウリイ。
素直でよろしい。
……ま、単になんも考えてないんだろうけど。

──いずれにせよ、女の子同士の買い物に男がつきあってもおもしろくないことは確かである。

「ゼルもそれでいいかしら?」
「ああ、まったくかまわん。で、集合はどうする?」
「さっきあのサロンに向かう途中の広場に、たしか大きな噴水があったでしょ。
そこだとみんなすぐに集まれると思うわ。時間は──」
「時間は今から一時間後、でいいんじゃないですか?」

ずい、と身を乗り出すようにして、あたしのことばにアメリアが続ける。

「そうね。んじゃ今から一時間後、さっき見かけた噴水の前で集合ね」
「ああ」
「わかった」

口々にそう言うと、ゼル、そしてガウリイはさっさと別方向に歩きだした。

「じゃあリナさん、わたしたちもさっそく行きましょうか」

にこにこ笑顔で告げるアメリアに、特に反論する理由もなく。
ふたりは、お買い物に出発したのだった。

.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ