三番隊/弐

ガランドウ秋茜
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野原に駆け出して
血の色夕暮れ
真っ赤な世界

空には夥しい蜻蛉
行き場を失くした魂のように
前へ前へ前へ

退くことを知らない
潔く愚かな
陽炎に飛ぶ蜻蛉

裸足で飛び出した
血が滲んでいる爪先
痛みが身体に突き刺さる



「おいで」



背後から囁く声
僕を狂ったように急き立てる
絶望の音階



囚われたら、きっと元には戻れない



形振り構わず走る
走れや走れ
逃げろや逃げろ



もう差上げられるものは何も、無い
.
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