その他

□引き裂かれる
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誰の





「裕太…本当に行ってしまうんだね…」



「あぁ。」


誰の




「裕太がいなくなったら周助大変よ?寂しがってさぁ」

「そんなことより姉さん、荷物っていつ着くんだっけ」




誰の



誰のせい?




「あと1時間ね。裕太寂しくないの?」


「観月さん達がいるし。別に。姉さんこそ寂しくないの?」



「バカいわないでよ。まぁ、ちょくちょく帰ってきなさいよ。」


「そうするつもり。母さん心配性だしな」


「そうね」








誰のせい?






勝手に騒いだ周りのせい?



それとも、僕のせい?



「裕太…」


「……何?」





今更、行かないでなんて言えなくて。



「裕太のお兄さんの名前は?」

「は?何いってんだよ?」

「いいから…」



「…周助。」


僕はね?

弟じゃなくて、ひとりの、

裕太として見てるんだよ?


「もう一度、」



「周助。」


「もっと」



「周助、周助周助。」



「…うん。」



「別に俺、兄貴が嫌いになった訳じゃねーから。」



「…うん。」





君に伝えたい言葉を
飲み込んで、




僕は


じゃあね。とは言えずに


せめて







「いってらっしゃい。」










またすぐ会えるのを願った。





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