その他

□キミが一番
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「きゃっ、孫一さんやない?」
「ほんまやわぁ!かっこええなぁ…」
京の町をふらりと歩いてみれば、絶え間なく飛び交う黄色い歓声。
なんていい気分ー♪
しかしその歓声の中に混ざる不快なことば
「その横、秀吉様ちゃうん?」
「うち、秀吉様好っきゃねん。幸せ者やわぁ」
世界中の女の子みんな俺だけを見てればいいんだ。なのにこいつのせいで…
「秀吉…てめぇなんでキャーキャー言われてんだよ…」
「知らんわ。わしそんなかっこいいか?」
「俺の方が100倍かっこいい!」
全くわかっちゃいねぇ。なんで秀吉をみるんだ。俺程良い奴いないぜ?
「なんだよ。気に食わねえなぁ」
「何が気に食わんのじゃ?こんなおなごに好かれて、本望じゃろ」
秀吉も全くわかっちゃいねぇんだな。俺の気持ち。確かに女の子は好きだけど、それ以上に惚れた奴がいるんだぜ?
「秀吉が他の奴にキャーキャー言われると腹立つんだよ。」
「…。」
これから天下人になる奴が俺の言葉で真っ赤になってる。少し、いや、結構満足。
「わしも。」
何で男を好きになってんのかよく分かんないけど、秀吉が居ないと俺はやって行けない事が分かった。

死にそうになって、抱きしめてくれた時から、女の子なんて眼中にねぇよ。
「孫一…何気にわしの事好きじゃな」
「何気にってなんだよ。そういう秀吉はどうなんだ?」
「……おっさん二人がイチャイチャするのは宿でな。」
あぁ、一応周りの目とか気にするんだな。畜生、宿までお預けだぜ。
「じゃぁ、宿にいったら沢山シような」
「‥やだって言ってもするじゃろ」
「当たり前だ!」

黄色い歓声は鳴り止まない。しかし、その歓声の中に不快なことばは無い。

秀吉が一番好きなのは俺だって分かったから。

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