おはなし2

□寝ても覚めても
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愛しい人を想って眠れない夜もある。
午前2時、 仙道はベッドから起き上がり、 窓をそっと開けた。
まだ冷たい風が頬をかすめる。

よく耳にするような、 切ないとか苦しいとか、 そういう感情はなかった。
ただこの感情が、 退屈な毎日を全く違うものに変化させた。
それは仙道にとってはじめての連続だった。

彼も自分を想って眠れない夜があるのだろうか。
柄にもなくセンチメンタルに浸ってみても、 盛大にイビキをかいている姿しか想像できなくて笑ってしまう。

きっと自分の好きの方がずっと大きいのだろう。
いや、 そうじゃなきゃちょっと困る。
17歳にして、 一生に一度ってのもアリじゃない?

さっさと寝てしまおう。
仙道は冷たくなったシーツに再び体を預けた。
夢の中で甘えてくれなくてもいい。

夜が明ければ、 またあの太陽に会えることを知っているのだから。


―おしまい―

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