おはなし
□No Fake!
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さんざん悩んでやっと辿り着いた。
答えは本当に簡単で、笑うしかない。
「越野、好きだ」
きっと何も理解できなかったに違いない。
越野はまじまじと目の前の顔を見つめていた。
期末テスト最終日、久しぶりに太陽が顔を出した。
一分一秒でも早く、と学校を飛び出す生徒の笑い声がきこえてくる。
そんな明るい表情とは対照的に、越野はすこぶる機嫌が悪かった。
必死の勉強もむなしく、試験はさんざんな出来だったらしい。
目の下のクマと冴えない顔色はお互い様なんだけど、理由は全く違うんだよな。
「んで、俺のどこが好きだってんだ? 教えてくれよ仙道」
「ど…どこって……」
なんでこうクソ面倒くさいことを聞いてくるんだ。
女じゃあるまいし。
「わかんないんだ…越野のどこが好きなのかって。これって永遠に謎かも知れねえ」
すると越野は顔を手のひらで覆い、アチャ―とばかりに天を仰いだ。
「わかんねえって…お前それって……」
それって。
それって何かを、越野が教えてくれたんだ。