おはなし

□君までの距離
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高校生らしい爽やかなお付き合い、といえば聞こえはいいのかもしれない。
しかし全く進展のないこの一ヶ月はどうなのだろうか。
越野は軽くため息をついた。
仙道が近づくだけで、途端に身体が固まる。
昨日などは、髪を撫でた仙道の手を思いきり払いのけた。
「ご……ごめん、越野」
情けない顔をしながら謝る仙道に、「オメーのせいじゃねぇよ!謝んな!!」
と越野は怒鳴った。
……ハッキリいって自分は野犬のようなものだ。
好意を持って近づいた相手に対しても、グルグルと唸るだけの。

仙道のことは好きだと思う。
信頼もしている。

しかし、反射的な身体はどうしようもなく。
ただのチームメイトだった頃は、どこを触られても平気だったのに。

チームメイトという言葉に越野は何故か引っ掛かるものを感じ、ある人物の元へ向かった。
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