おはなし

□5限目は健全
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クラスの友人に、ラーメンを誘われてつぶれた昼休みだった。そのまま教室に戻る彼らと別れて、越野は屋上に繋がる階段を昇った。


心臓の音がやけにうるさい。
視界に入ったのは、寝転がったツンツン頭の大男。
脳よりも先に体が反応し、その姿を捉えてしまう。
「仙道」
少し距離をとって呼びかける。

すると仙道はゆっくり振り向き、解っていたかのように笑っていた。


「越野を探してたらさ、ラーメン行ったって言われてさぁ。ここでふて寝決定」
「悪かったよ……」
ガキじゃあるまいし、メシくらいひとりで食えんだろ……。
口には出さず、心の中だけでそう呟く。 数秒後、越野はその選択が正しかったことを確信した。

何故なら、仙道のふて寝の原因が足元に転がっていたからである。
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