081103*一ミリくらいの大きな差。

昨日、仁王を見た。
女の子と仲良く歩いていた。二人は手を繋いでいた。人が溢れている街の、嫉ましい程のカップルの中に、二人はいた。それは不自然とは無縁な様子で。
だって男と女だし。手を繋いだって、抱きしめあったって、キスをしたって、誰も咎めはしない。
わかってるんだ。俺だってさ、人前で色んなことしたいって思うときあるもん。

だけど、男と男だから。
たとえ恋人同士でも。



「にーおっ」
「お、ブン太」
「今日カラオケ行かねー?」
「…歌を歌いに?」
「だと、思う?」

だからさ、たとえ仁王が女の子と仲良くしていても、俺は怒らないし咎めたりしない。
ただ、ちょっと、

「ええよ、行こうか」
意地悪な表情をしながら俺の頭を撫でる仁王を見上げて思う。

ただ、ちょっと、
寂しいだけ。



お願いだから、俺のそばから離れないでいて。
だって、俺はただ男なだけなんだから。





〇本当は男なことがコンプレックス。

[TOPへ]
[カスタマイズ]




©フォレストページ