WONDERFUL NOVEL

□- 僕達の出会いは最悪だった -
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- 僕達の出会いは最悪だった -



「この部分はハネをしっかりつけて・・・ー」


あぁ、もうめんどくせぇ
A館2階書道室。
学校の中で最も墨臭い場所
ここで服や上履きを汚して帰る奴もいる
後ろの奴が墨を散らさないかいつも神経を使ってしまう
もし墨つけられたらどう文句つけてやろう・・・そんなことを思いながらいつもこの時間を潰していた
てか字なんか綺麗に書いてなんになるっつうんだ


まぁでもこれ以上文句を言い続けるだけで成績がつかなくなるのも嫌だしな・・・
そう思いしぶしぶ自分の筆に手を伸ばした
紙に筆を置くと墨の摺りが甘かったのか字が水っぽい
(これだから一限目は・・・)
「チッ・・・」
腹がたって思い切り汚く書いてやった

チャイムが鳴って授業が終わる
あの汚い提出物を出したあと道具を片付ける

(筆・・・墨、うん、忘れ物ねぇな・・・)

さて、帰るか



ん?

俺は先ほどまで使っていた硯を見た
その中には俺が一生懸命摺った墨が入っている
水からここまでするのはかなりの労力を使った・・・
次の奴はこの余った墨を普通に使いやがんのな・・・

次の奴も自分で作れ

ジョボボボ

ところどころに置いてあるペットボトルに入っている水を硯に思いっ切り入れた、溢れるくらいに


「君性格悪いね」


(悪かったな、どうせ俺は・・・って、あ・・・?)


「ここ次僕が使うんだけど・・・」

「・・・悪い・・・」

「許さない」

「・・・!!」

「うそ」

くすくすと笑いながらそいつは言う

「ほら、はやく帰らないと次の授業遅れるよ」

「お・・・おう・・・」




俺は急いで教室に戻った・・・

ーーーー


「なぁ、綾瀬川ってどんな奴?」

「よくわかんねぇ奴」

「もっと他に!」

「知らねぇよ、だいたいなんで綾瀬川のことなんか・・・」

「いや、ちょっとな・・・」

「まぁ、あいつには近寄らない方が・・・って俺のウインナー!!」

「んなことは聞いてねぇよ」
「だからって俺の弁当食うな!」





なんかわかんねぇけど
近寄らない方がいいなんて言われた時少しだけ腹がたった
いや、ホントにちょっとだけだぜ??







「あ、」
喉渇いたから校内の自販機に飲みもんを買いに行った。が、そこには先客がいた

「やぁ、僕の硯に悪戯した人」
綾瀬川は前と同じようにくすくすと笑う
てかお前の硯じゃねぇだろ、硯はみんなのもんだ
あん?なんか変な言葉になったな・・・

「だからあれは謝っただろ」いつまでもぐちぐち言う奴は好かれねぇぞ

「うん、仕方ないから許してあげる」

それはどうも
ホントに運が悪い
年に5回来るか来ないかの自販機で、こいつに会うんだからよ

「あはは、それにしてもお互い寂しいね、1人寂しくジュース買いに来るなんて」

「俺は寂しい奴じゃねぇよ、ダチもちゃんといる。お前と違ってな」
あ、俺今こいつを傷つけたかもしれねぇ・・・

「ふぅん。でも僕は君の言う通り1人だから一緒にいてよ」

ね?と笑って俺の目を見てくる綾瀬川を可愛いと思った・・・。たぶん・・・

にしても、わがままな奴・・・
「教室で飲め、教室で」

「嫌、ごみ箱ココにあるし」
嫌って・・・
なんだこの馴れ馴れしさは・・・まぁ、別に嫌じゃねぇけど
下手に敬語使ってくる奴らよりずっといい
俺の顔見ただけでヘコヘコ下手に出て来やがる。人を見た目に判断するなっつの
「ねぇ、君なんて名前??」

「・・・斑目一角」

「いい名前だね。顔は厳ついけど」

「悪かったな、厳つい顔で。」

「悪いなんて言ってないだろう?あ、僕の名前は」

「綾瀬川弓親、だろ?」

「あれ?知ってたの?」

「お前有名だぜ?違う意味で」

『綾瀬川には近付かない方がいい』
檜佐木の言葉が心の奥の奥の方でズキリと痛んだ



「そう・・・、じゃあ君も、僕のこと・・・」

『嫌いなんだね・・・』

なんでお前を嫌いにならなきゃなんねぇんだよ
俺はお前のことまだ全然知らねぇし、知ってるといえばお前がわがままってことぐらいで、たとえばお前が男遊びが激しいって噂があったとしても本人に聞いてねぇんだから・・・
勝手に嫌いって決め付けるなよ。

「嫌いじゃねぇよ」

「うそ」

「嘘じゃねぇ、お前わがままだけどいい奴だし」

「いい奴・・・?僕が?どのへんが?」
いい奴。って言葉に異常に反応した綾瀬川が俺にズイと近付く
考えてみれば綾瀬川がいい奴だなと思う行動はしてない・・・
だがなんとなく・・・

「俺はお前のこと嫌いじゃねぇ!!」

「え・・・?・・・返事になってないよ一角」
あはははと声を出して綾瀬川が笑う

「でも嬉しいよ、僕のこと好きなんて言ってくれる人はいないからさ」

「好きとは言ってねぇっ、嫌いじゃないって言ってんだ!」

「ふふ、ありがとう」

この時こいつの笑顔を可愛いと思った。






次の年
俺と綾瀬川は同じクラスになった




END


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相互してもらってすぐにひよこ様のサイトで5555番を踏んでしまいまして…
嬉してリクエストさせてもらってしまった最低な女、月影です(笑)
あわわっ!
なんて素敵な二人なんだっ!!
『じれったい恋をする角弓』とのリクエストの通り、じれったい恋模様を描いてくださいました!
本当ありがとうございます!
同じクラスになった二人が、こっから先どうなるか気になりますね(笑)
あ、ちなみに、晃は書道選択生ではなかったので、硯を使い終わった後に水を大量にとかって経験ないです(笑)
なるほど、そういうのがあるんですね!
一人感動していた馬鹿でした。
本当ありがとうございましたー!
そして、確か許可得てない…気がする…けど載せてしまってすみません…
ダメ…でしたかね?
 

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