長編小説

□[5]1つの絵
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今、私は美術作品展示店にいる。
私は絵に興味があるからだ。
特に高校生が描く絵には・・・。
そして中へ入って行った。そこには数えきれないほどの作品があった。

「あ・・・」

私はある作品を見て、つい声をあげてしまった。それは新庄の前の学校の生徒の作品で、モデルにされていたのは・・・新庄だった。癖のある髪。小さな顔。私は優しく描かれた目に注目した。いつもの鋭さはこの絵にはなかった。これが本当の新庄の姿・・・。

「あれ?そこのオジさん。その絵に興味があるの?」

突然明るい声をした女の子に話しかけられた。

「え?」

「オジさん。この『小暮 君明』君の絵を見てたんでしょ?」

「ああ」

「上手いよねぇ〜。あたしこの君明君と同級生で友達なんだぁ。学校は違うけど。オジさん学校の先生か何か?」

「学校の先生をしてるんだ。それでこの絵のモデルの子がうちの学校に転校してきた。」

「亮太ね?」

やっぱり新庄のことを知っているみたいだった。

「新庄は・・・」

「亮太はただ大人を嫌ってるだけなんだ・・・。根はいい奴なんだよ。その絵を描いた君明くんは足が不自由で車いすに乗ってるんだけどね、亮太が転校する前はずっと亮太が車いすを押してあげてたんだよ。」

それで感謝の気持ちをこめて新庄の絵を彼は描いたのか・・・。

ん・・?なぜ新庄は大人を嫌っているんだ?大人に何かされたのか・・・?あの私に見せた鋭い表情・・・。

「オジさん、あんまり亮太の事気にしちゃ駄目だよ?根はいい奴だから。それじゃあたしはそろそろ行くね。」

新庄 亮太・・・考えれば考えるほど謎が多い少年だ・・・。

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