復活!/book*
□黙るな危険
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【黙るな危険】
遅い､遅すぎる｡なーにがハルと一緒に並盛神社の夏祭りにレッツゴーだ｡待ち合わせ場所と集合時間を決めて､最後の行に遅刻は厳禁とメールで送った本人が遅刻をするなんて､正真正銘のアホだ｡どんだけ否定されようとやっぱりアイツはアホ女だ｡ったく､いつまで待たせる気なんだよ｡集合時間からもう十五分も経過しているが来る気配が全くない｡ケータイを開いてみても､あっちからの連絡が一つも無い｡いっそのことこっちから電話をかけた方が良いんじゃねえかと思いケータイを弄っていると､目の前にやっと人の気配を感じた｡
「ご､ごめんなさい獄寺さん!」
「遅すぎんだよアホお､…んな……!?」
思わずくわえていた煙草を落としそうになる｡目の前にいる女がアホ女だということは分かっているが､一瞬目を疑ってしまった｡髪はいつもと変わらぬポニーテールだが､洒落たかんざしを髪につけ､黒地に赤い花柄の浴衣を着ている｡顔をよく見れば､赤いグロスをつけているのが分かった｡…まぁ､あれだ｡馬子にも衣装って所だな｡絶対口には出さねーけど｡
「思ったより準備に時間がかかっちゃって､走ろうと思ったんですけど走るどころか上手く歩けないし､ケータイのことなんて頭に全く入ってなくて…」
「…いい｡行くぞ」
「は､はいっ!」
屋台を見て軽く腹ごしらえをしていると､いつの間にか時間が九時近くになっていた｡そろそろ帰らなければとアホ女が言ったのをきっかけに､俺達は神社を出た｡歩くのが遅いアホ女を夜遅くに一人で家に帰らせはさすがに不味いから､今日は家まで送ることにした｡なるべくゆっくり歩いているつもりだが､アホ女は俺の後ろを必死に歩いている｡…それはまあ置いといて､なぜ俺達は無言で歩いているのだろうか｡普段はうるさいくらいによく喋るくせに､今日は口数が異常に少ない｡正直､息がつまりそうだ｡もしかして俺だけなのか?と後ろを振り向くと､アホ女の表情は恐ろしいほど険しかった｡
「……おい」
「は､はひっ!すいません､ハル歩くの遅くて…」
「いや､別に気にしてねぇけど……今だけ手ぇ貸してやる」
左手を差し出すと､アホ女は自分の右手を俺の左手と繋いだ｡あまりにも弱い力で繋がれているのがじれったくて､繋いだ手に少し力を入れるとアホ女も繋いだ手に少し力を入れた｡隣にいても､相変わらずアホ女は口を開かない｡気付けばもうすぐアホ女の家に着く｡今日はもうこのまま無言なのかと思っていると､アホ女が小さな声で俺の名前を呼んだ｡
「もう怒ってませんか?」
「…は?怒ってねぇけど」
「嘘です!獄寺さん､ハルが話しかけてもハルの顔見てくれないし､たまに上の空だし､溜息吐くし､先行っちゃいそうになるし､笑ってくれない､し…」
ちょ､おいおいマジかよ｡なんでそんな泣きそうな顔してんだよ｡つーかお前の言ってること全部間違ってんだよ｡お前の顔見れねぇのも上の空なのも溜息吐くのも笑えねぇのも全部､お前に怒ってるからじゃねぇよアホ女｡まあ確かに勘違いさせる行動だったかもしれねぇけどよ､少しはこっちの気持ちを考えろよ…って､結局は口に出さねぇ俺が悪いんだよな｡
「一度しか言わねぇぞ」
「……はひ?」
「今日のお前､いつもと違うからよ､なんつーか……き､綺麗だった」
やべえこれ超恥ずかしいじゃねーか!ていうか早く何か言えよ､と訴えるべくアホ女の顔を見ると､アホ女は顔を真っ赤に染めてなんとも言えない様な表情をしていた｡んだよ､そんな顔されたら照れるじゃねぇか｡すると突然､アホ女が繋いでいた手を離し､思いっきり俺を右腕を抱き締めた｡俺の腕は抱き人形かとツッコミたくなるくらい､アホ女はさっきの弱々しさが嘘の様に強く抱き締めている｡まぁ､こっちの方がお前らしいから嫌いじゃ無ぇけど｡
「獄寺さん大好き!」
「…好きにしろ」
end.
蒼ちゃんお久しぶりです
リクエストして下さった時から今日まで長い時間を待たせてしまい､本当に申し訳ありませんでした｡
(※以下コメントレスです)
いえいえそんなとんでもない…!ここまで続けてこれたのは蒼ちゃんのお陰です!優しいコメントに何度励まされたことか…｡蒼ちゃんが居なかったらここまで続けてなかったと思います｡何度お礼を言っても言い足りないです､本当にありがとうございます｡初めて蒼ちゃんにコメントを頂いた時､何て優しい方なんだと感激したのを覚えています｡私の書いたしょうもない文に毎回優しいコメントを下さり､こうして仲良くさせてもらい､きーちゃんという私にはもったいないなんとも可愛らしい呼び方で呼んで下さり…!私はもの凄い幸せ者です｡お友達を頼むのはこっちの立場だよ蒼ちゃん…!こんな私ですが､これからも私と仲良くして下さい｡
素敵なリクエストありがとうございました｡おきに召さない所がありましたらお手数ですが報告お願いします｡
(2012.01.03)
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