book2
□ぎったぎたにしてやんよ
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【ぎったぎたにしてやんよ】
初めて出会ったあの日、甘いソプラノボイスとまるでお日様みたいなあたたかい笑顔で僕に挨拶をしてくれたミク。ああ、良い子が来てくれて良かった。…なんて思ってたのに。可愛い妹が出来て嬉しかったのに。
ミクが来てから数ヵ月後、あの二人組が来てしまったことで、まるで天使の様に可愛らしかったミクはまるで別人の様に変わってしまった。
「…ちょっと。いい加減リンちゃんから離れなさいよショタ!」
「うっせーネギ!リンに近づくな!ネギ臭いのリンにうつんだろ!」
「はああぁあ?あんただってバナナ臭いのよ!鼻が曲がっちゃうわ!早く掴んでるリンちゃんの右腕離しなさいよ、バナナ臭いのが感染すんじゃない!」
「バナナの方がネギよりマシですー。そっちこそ、早くリンの左腕離せよ。リンが嫌がってんだろ百合ネギ」
「…もういいわ。そんな分からず屋には、ピーにネギをピーしてやんよ☆」
「はっ。その前にロードローラーでぺしゃんこにしてやんよ☆」
「「……コロス!」」
ああ、ドアは乱暴に閉めないでって言ってるのに…。毎日毎日よくやるなあ。
鏡音リンとレンが来てから、ミクはずっとあの調子だ。レンはリンにべた惚れ。ミクもリンにべた惚れ。つまり、あの二人は恋のライバルで、自分以外の者がリンに近付くのが気にくわないらしい。…恐ろしいよね、うん。
「カイ兄ー」
突然レンとミクがいなくなってしまい、ポツンとその場に取り残しされていたリンが、ソファーに座っていた僕の元にやって来て、僕の隣にちょこんと座った。
「もー…何でレンとミクちゃんはあんなに喧嘩ばっかりするのかなあ」
「うーん…思春期だからじゃないかなあ」
「リンは、レンもミクちゃんも、同じくらい大好きなのに」
顔をしかめながらうつむくリン。頭につけている白いリボンも、しおらしく垂れ下がる。…何だかリンが凄く気の毒になってきて、リンの頭を撫でてあげた。するとリンは、嬉しそうに笑った。
「えへへー。カイ兄は優しいね」
「レンやミクも優しいでしょ?」
「うん!めーちゃんも、ルカ姉も、がくぽも…みんな優しいね。リンも優しくならなくっちゃ!」
「大丈夫だよ。リンは優しい」
「…本当?」
「本当」
「…えへへっ。カイ兄だーいすき!」
リンは頭につけているリボンをピョコピョコと揺らしながら、お菓子を作っているめーちゃんがいるキッチンへと走って行ってしまった。…うん、可愛い。リンはミクやめーちゃんとは違う可愛さを持っている。レンとミクはそんなリンに惚れたんですね、分かります。…さてと、リビングにいるのは僕一人になっちゃったし、のんびりアイスでも食べよっかなあ。
「カーイートー兄ーさあーん?」
「リンとなーにを話してたのかなあー?」
「な、何をって別にたいした話じゃ…っていうか二人共、戻ってくるの早すぎじゃない?」
「リンちゃんを置いてきぼりにしちゃったから、迎えに来たのよ。それなのに…ねえ?レンくん」
「そうそう。ドアを開けようとしたら、リンがカイトに告白してるんだもんなぁ?ミク姉」
「ちょ、違っ!二人共誤解なんだっ!」
「「黙れロリコン」」
「ひいいぃぃぃいぃいぃ!」
end.
リンがひたすらオイシイのは私がリン廃だからですサーセン(^q^)
無駄に長い…
(2010,01,06)
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